労働条件通知書と雇用契約書

従業員を雇い入れる際は、雇用(労働)契約を締結し、労働条件通知書を交付する必要があります。労働条件通知書とは、労働契約の期間や賃金といった労働条件に係る事項を記載した書類のことで、労働基準法第15条では、使用者が労働者を雇用する際、労働者に対して労働条件を明示することを義務づけています。これに対して、雇用契約書とは、雇用主と労働者が労働条件について互いに合意したことを証明するための書類です。労働条件通知書が事業主から労働者へ「一方的に交付されるもの」であるのに対し、雇用契約書は「双方が合意していることを証明するもの(2部作製してそれぞれが持つ)」で、「契約は口頭で成立する」と言われるように、必ずしも法律で雇用契約書の作成が定められているわけではありません。つまり、、労働条件通知書さえ作成・交付していれば雇用契約書は必ずしも作成しなくて良いのです。

 

 

           労働条件通知書      雇用契約書

法律 労働基準法、パートタイム労働法、労働者派遣法  民法
書面締結の必要性 法律上義務あり  義務なし
合意の必要性  事業主側からの一方的な交付  事業主と労働者での合意

しかし、雇用主から「一方的に」交付される労働条件通知書ですと「労働条件通知書を交付された覚えがない。聞いてない」などと主張され、監督署に駆け込まれ、事業主側が不利になってしまうリスクがあります。したがって、たとえ法的な義務はなくても、雇用主と労働者の双方が労働条件に合意したことを示す雇用契約書も作成・交付することをお勧めします。弊所では労働条件通知書と雇用契約書を兼ねた「労働条件通知書兼雇用契約書」を作成いたしております。

労働条件が変更された場合どうする?                  入社時だけではなく従業員の労働時間、基本給、手当等変更されるたびに労働条通知書を、作成・発行する必要があります。助成金などでは、労働者本人の署名等がわかる書類の添付が必要となるものもあるため、一方的な通知である「労働条件通知書」であっても署名等して頂いたり、あるいは弊所推奨のように、「労働条件通知書兼雇用契約書」を極力、作成いただくことをお勧め致します。

 

 

 

キャリアアップ助成金令和4年4月改正

2022年4月1日以降は有期契約のアルバイト等から無期契約のアルバイト等への転換がなくなってしまいました。つまり正社員への転換がかならず条件になってしまいました。

有期(パート等) → 正社員 1人当たり 57万円 変更なし
有期 (パート等)→ 無期(パート等) 1人当たり 28万5千円 廃止!
無期 (パート等)→ 正社員 1人当たり 28万5千円 変更なし

では令和4年4月1日以降からは有期 (パート等)→ 無期(パート等)、への転換の助成金の申請は不可になったのかと言いますと、有期 (パート等)→ 無期(パート等)転換日が令和4年4月1日前であれば、6カ月たった日や申請日が4月1日以降であっても申請可能です