5人未満従業員雇用事業所は社会保険強制適用事業所になっていないか絶えず注意が必要

社会保険の適用事業所になるのは、法人の事業所と従業員が常時5人以上いる個人の事業所(農林漁業、サービス業を除く)です。例えば飲食店は、個人事業であれば、従業員の数にかかわらず加入義務はありません。令和4年10月からは弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業についても適用業種に加えられ、常時5人以上の従業員を雇用している士業事業所は、強制適用事業所となりました。

今日のお話は個人事業のその「5人以上」についてです。「常時5人以上の従業員」には、正社員のほか、パート・アルバイトであっても週および月の所定労働時間・日数が、同事業所で同様の業務に従事する正社員のようなフルタイムで勤務している常用雇用の労働者の3/4以上となる従業員であれば社会保険の加入対象になります。つまり、社員4人、パート1名の会社であってそのパートの方が社会保険加入対象であった場合、社会保険に加入すべき人数が合計で5人となり、その事業所は強制適用事業所という事になり、にもかかわらず社会保険に加入していない状態であった場合、過去2年間にさかのぼって辞めた従業員の分の社会保険料金も含めて社会保険料を徴収されたり最悪罰金に科される可能性もありますので、事業所の社会保険加入対象者が5人になっていないか絶えず注意しておく必要があります。

 

2023年10月から2年連続で「130万円の壁」を超えても扶養内のままでよくなりました。

今までは主婦等のパートでお仕事されている方は年収130万円を超えた場合には即配偶者の扶養から外れなければなりませんでした。しかし連続した2年間に限っては年収が130万円以上になっても扶養のままでよいこととなりました。

手続きは簡単で、パート等の被扶養者の方を雇う事業主が「この方は130万を超えたのは一時的なもので、時給アップのものではありませ。ん」とパート等の被扶養者を扶養する扶養者(例・会社員の夫)が加入する健保組合に証明証を記載した上で証明するだけでОKです。ただし、これは法的強制力はなく、組合によっては基準、取り扱いが異なってくる可能性があり、扶養者の健保組合に確認したほうがよろしいかと思います。

https://www.mhlw.go.jp/content/001159348.pdf

001159348.pdf (mhlw.go.jp)

また「2年間」に限って、というところがポイントでして、2年後の2025年には年金制度改正が待ち構えており、2年後は、被扶養者でいられることの条件が一気に厳しくなったり、あるいは被扶養者という考えがほぼ撤廃されて「みんなで働いて人手不足、人材不足を解消しましょう。」という社会保険制度に大きく変わる可能性もありますので今後の国、厚労省の動向には注視しながら収入設計、働き方を考えていく必要があります。

数日前以前お手伝いさせていただいた方よりお菓子が届きました。感謝されるとやはり気持ちがとても嬉しいものです。

離職証明書

退職する従業員への離職証明書の発行は義務ではありませんが、本人から交付を依頼された場合、発行義務が発生します。退職後しばらく経ってから元従業員の方からお願いされた場合でも、会社は応じなければなりません。離職証明書は3枚綴りの複写式で、1枚目は事業者主控え、2枚目はハローワークに提出用、3枚目は退職者に提出する「離職票-2」になります。

離職票は、雇用保険失業給付(基本手当)や求職の申込を行う際に必要となる書類であり、失業給付を受給する際等にしか使用しない書類なので、事業主はあらかじめ退職者に離職票が必要かどうかを確認しておきましょう。

失業給付(基本手当)は、退職(失業)した日より前の2年間に、雇用保険に加入していた(被保険者だった)期間が合計で12月以上必要です。
ただし、会社の都合によって失業した場合は、退職した日より前の1年間に、雇用保険の被保険者であった期間が合計で6ヶ月以上ある場合でも要件を満たします。この12カ月以上や6カ月以上には、それぞれの過去の違った勤務先での雇用保険の加入期間を合算できます。ただし、再就職する前に雇用保険失業給付(基本手当)を受けていた場合は、その前の期間は含めることはできず、それ以降の月のみカウントします。

離職票が必要ではないと思われるケースを挙げてみたいと思います。    1退職後に働く意思がない場合です。その場合は失業認定が受けられないので離職票は不要になります。                       2退社の際にすでに就職先が決まっている場合も失業認定は受けられませんので離職票は不用です。ただし次の会社に入社してその会社も退社した場合で合算して受給資格を見る必要があれば、その際に離職票が必要になってくる場合もあります。次の会社で十分、雇用保険被保険者期間(雇用保険に入っていた期間)を満たすようであれば受給資格の点で過去の勤務先の離職票は不要ということになりますね。一方実際の給付額については雇用保険に加入していたかによって給付日数が違ってくる場合があります。それは2年間の縛りは無く過去の分も通算されていくので失業給付される日数が変わってくるようなこともあることもあるという事考えて離職証明書を作成しておいたほうが良いかもしれませんね。

 

雇用保険に遡って(さかのぼって)加入

雇用保険の加入を忘れている事業主の方も多いと思います。例えば「パートは入らなくて良いと思っていたのでパートの従業員は入れていなかった」「雇用保険に加入するべきだと気が付いた時点から慌てて加入したが、誤って最近から加入させてしまい実際はその前の期間は加入しないでしまっている」等です。1週間の労働時間が合計 20 時間以上等であればパートも加入させなければなりません。雇用保険に加入するべき従業員を雇用保険に加入させていなかったり、入るべき期間より短い期間で雇用保険に加入させたまま従業員が退職することになった時、失業手当の受給ができなくなったり被保険者期間の関係で金額が少なくってしまう恐れがあります。また雇用保険の加入は、数多くの助成金申請の際の条件であったりします。従って入ってっていなかったり、入るべき時から入っていなかった場合は、従業員とのトラブルを避けるためにも至急加入するべき日から加入するべきです。遡って入れます。その際は、ハローワークの雇用保険適用課、のようなところに、遡って加入する被保険者番号や雇用保険事業所番号を控えて出向いてください。もって行く必要があるものは、賃金台帳もしくは給料明細、出勤簿等です。働いていた実態(日数や給料がしっかり記載されている)がしっかりと確認できるのであれば、賃金台帳だけもって行けば大丈夫です。例えば昨年10月から雇用保険加入させていた従業員が本来昨年5月から加入するべきだった場合、5月以降~9月までの全ての賃金台帳等を持って行きます。そしてハローワークで「雇用保険被保険者資格取得届等訂正願」というのを提出しますがたいていはハローワークに置いてあるはずです。

さて、遡って加入するということは、その時から雇用保険料は発生する、ということです。労災保険は事業主の負担ですが、雇用保険は労使折半です。そこでさあ困った、です。今更従業員の雇用保険料を従業員から給料から控除できるか、です。私見としいては会社の落ち度があって雇用保険料を給料から控除していなかったわけですので、雇用保険は社会保険料と比べると大きな金額ではないですので、過去の雇用保険加入前の期間の分は事業主が全額負担するのが良い、つまり控除しないのが良い、と思います。

 

 

雇用保険被保険者資格取得届等訂正願

年次有給休暇年5日の年休を労働者に取得させることが義務

年次有給旧休暇

年次有給休暇付与日数が10日以上の労働者に対しては、年5日年次有給休暇を与えることが2019年4月からの改正で使用者の義務となりました。年次有給休暇を雰囲気的に申し出ることができない労働者が多く、使用者側から強制的に年次有給休暇を5日取らせなければならない事になったのです。その5日には労働者が自ら取得した日は省かれます。

その5日を与える方法として有効であって、注目されているのが年次有給休暇の計画的付与、という方法です。計画的付与の方法としては、①会社または事業場全体の休業による一斉付与、②班・グループ別の交替制付与、③年休の付与計画表による個人別付与があたります。計画的に休暇を与えるためには、具体的な年休の付与日のほか、上記③の場合は計画表を作成する時期や手続きなどについて、労使協定で定めます。

「例 令和4年度の年次有給休暇のうち4日分については次の日に与えるもの     とする   4月26日、4月30日、5月2日、5月7日」

労使協定は、具体的な年休の付与日を記載する必要があるということはカレンダーを確認しながら毎年、協定をしなければならないことになります。ただ、労使協定は届け出までは不要です。ちなみにいったん決められたこの年休については、労働者の時季指定、使用者の時季変更は、年休が「計画的」でなくなってしまうためできません。

このようにシンプルに考えればわかりやすいのですが、計画的付与で付与した日数も当然、年5日使用者の時季指定義務の日にカウントされます。そういった意味でも計画的付与をする価値は大きいと思います。

有給休暇の賃金の算出方法は?
有給休暇取得中の賃金の算出方法として、以下の3つが挙げられます(労働基準法第39条第9項)。
   ①通常の賃金を支払う
   ②平均賃金を支払う

   ③健康保険法の標準報酬日額

上記②の平均賃金は、事業主側からすれば平均賃金の計算は、3か月分の給料を労働日数ではなく歴日数で割って1日分の賃金を出すので安く抑えられる傾向にありますがいちいち、年休取得の時に計算しなおさなければならないため非常に手間がかかり、また平均賃金の計算自体も容易ではないので、あまりお勧めはできません。通勤費も支給賃金に含みます。仮に出勤していたらかかっていたお金ですし、通勤手当を定期代としている場合、そこから有給で来なかった日の通勤費を引くというのは現実的ではないですよね。また①で計算する際に注意すべきことは、その月に残業をした場合等に残業代は賃金に含ません。

就業規則作成について・パート労働者がまだいない時

パート用就業規則の、意見書は、もろもとパート代表ではなく、全従業員の代表労働者に記載して頂きます。ですから、パート用就業規則は、パート労働者がいない場合でも作成した場合は使用者は、全従業員の代表に意見書を記載して頂き、作成したパート用就業規則に添付して監督署に提出します。

記名は押印も必要?                           実務上は記名のみで足り、押印は必要ありません。それどころか監督署にもよるかもしれませんが、助成金の申請などではパソコンで作成した意見書も受理してもらえます。(もちろん実際に周知は絶対に必要です。また一部の監督署では実際の労働者代表の記名も必要です)

 

 

労働条件通知書と雇用契約書

従業員を雇い入れる際は、雇用(労働)契約を締結し、労働条件通知書を交付する必要があります。労働条件通知書とは、労働契約の期間や賃金といった労働条件に係る事項を記載した書類のことで、労働基準法第15条では、使用者が労働者を雇用する際、労働者に対して労働条件を明示することを義務づけています。これに対して、雇用契約書とは、雇用主と労働者が労働条件について互いに合意したことを証明するための書類です。労働条件通知書が事業主から労働者へ「一方的に交付されるもの」であるのに対し、雇用契約書は「双方が合意していることを証明するもの(2部作製してそれぞれが持つ)」で、「契約は口頭で成立する」と言われるように、必ずしも法律で雇用契約書の作成が定められているわけではありません。つまり、、労働条件通知書さえ作成・交付していれば雇用契約書は必ずしも作成しなくて良いのです。

 

 

           労働条件通知書      雇用契約書

法律 労働基準法、パートタイム労働法、労働者派遣法  民法
書面締結の必要性 法律上義務あり  義務なし
合意の必要性  事業主側からの一方的な交付  事業主と労働者での合意

しかし、雇用主から「一方的に」交付される労働条件通知書ですと「労働条件通知書を交付された覚えがない。聞いてない」などと主張され、監督署に駆け込まれ、事業主側が不利になってしまうリスクがあります。したがって、たとえ法的な義務はなくても、雇用主と労働者の双方が労働条件に合意したことを示す雇用契約書も作成・交付することをお勧めします。弊所では労働条件通知書と雇用契約書を兼ねた「労働条件通知書兼雇用契約書」を作成いたしております。

労働条件が変更された場合どうする?                  入社時だけではなく従業員の労働時間、基本給、手当等変更されるたびに労働条通知書を、作成・発行する必要があります。助成金などでは、労働者本人の署名等がわかる書類の添付が必要となるものもあるため、一方的な通知である「労働条件通知書」であっても署名等して頂いたり、あるいは弊所推奨のように、「労働条件通知書兼雇用契約書」を極力、作成いただくことをお勧め致します。

 

 

 

キャリアアップ助成金令和4年4月改正

2022年4月1日以降は有期契約のアルバイト等から無期契約のアルバイト等への転換がなくなってしまいました。つまり正社員への転換がかならず条件になってしまいました。

有期(パート等) → 正社員 1人当たり 57万円 変更なし
有期 (パート等)→ 無期(パート等) 1人当たり 28万5千円 廃止!
無期 (パート等)→ 正社員 1人当たり 28万5千円 変更なし

では令和4年4月1日以降からは有期 (パート等)→ 無期(パート等)、への転換の助成金の申請は不可になったのかと言いますと、有期 (パート等)→ 無期(パート等)転換日が令和4年4月1日前であれば、6カ月たった日や申請日が4月1日以降であっても申請可能です

雇用調整助成金申請時の間違いやすいところ・忘れやすいところ

令和2年からのコロナ特例の雇用調整助成金が始まって以降お手伝いさせてきましたが、その間、自分自身が間違いそうになったり忘れてしまいがちであったことを記載します。

 

■支給要件確認書は、一番新しいものでОK                   今日は2022年3月26日。これから2021年の12月(あるいは11月)や今年の1月分を支給申請してる方が通常だと思います。さて、支給要件確認申立書ですが、いつの間にか様式が変わってました。昨年の12月分等の申請もこちらの様式でよいのでしょうか?結論として問題ありません。新しい書類を使います。    

 

 ■休業が少なすぎる場合は支給されない。                    休業の規模が少なすぎる場合は要件を満たせず支給されません。大企業は100分の3・4以上、中小企業は2・5以上の日数の休業が必要です。

■雇用調整助成金の支給申請書の「対象労働者」とは?                    例えば雇用保険加入者が40人、パート等の雇用保険未加入者が10人の場合、この「支給対象者」とは40人なのか?もしくは雇用保険未加入者の10人を含んだ50人なのか?はたまた支給対象月の雇用調整助成金対象者のみのことか?答えは雇用保険加入者のみ(日雇い労働者等一部除く)の40人を記載します。

■雇用調整助成金の支給申請書の「月間所定労働延日数」とは?      ここも同じくば雇用保険加入者全員の1月の所定労働延べ日数を記載します。例えば雇用保険加入者が40人で一人1カ月みんな同じく20日働くことになっている場合40人×20日=800、です。雇用保険未加入者を含めたり、あるいは雇用調整助成金の支給申請対象者だけの月間所定労働延べ日数と間違いないようにしないとなりません。

■緊急雇用安定助成金の「対象労働者」とは?              さて次はパート等の雇用保険未加入者についてです。こちらの「緊急雇用安定助成金支給申請書」も「対象労働者数は?」という記載欄がありまして、雇用保険加入者も雇用保険未加入者も含めた人数なのか?もしくは雇用保険限定か?雇用保険未加入者だけのことか?はたまた雇用保険未加入者の中でも支給対象月の助成金申請対象労働者だけのことか?と悩んでしまいます。ここは、雇用保険未加入者全員(日雇い等一部除く)の人数を記載します。

■緊急雇用安定助成金の「月間所定労働延日数」とは?             ここも同じくば雇用保険未加入加入者全員の1月の所定労働延べ日数を記載します。例えばパート等の雇用保険未加入加入者全員が10人在籍していたとします。その10人が1カ月に働く日がみんな均一に5日であったとします。その場合10人×5日=50、です。

※よく申請のたびに、自分自身が忘れてしまっていたことですので今後のために自分自身のための記載です(^^) ※主に「状況特例のない中小大企業」についての記載です。詳しくは職安の窓口やコールセンターにご確認ください。