特定求職者雇用開発助成金は発達障害(ADHD)の方を雇い入れた場合に支給されるのか?

大人の発達障害という言葉が近年よく聞かれるようになっております。

発達障害が軽度であったり、学力・知能があったりする場合は、学生までは、本人の努力や周りの配慮によりその症状が顕著にならないことが少なくありませんが、社会人になって職場等の人間関係などで行き詰まったりストレスを感じ、精神科を受診して初めて発達障害と診断される・・・ようなケースが近年よく聞かれるようになりました、それが大人の発達障害(AⅮHⅮ)、です。

さて、就職が特に困難な方をハローワーク等の紹介によって雇い入れた場合に一定の条件(例・継続して雇い入れ)で支給される助成金です。この助成金には、特定就職困難者コース(高齢者、母子家庭、60歳以上、障害者の方など)や発達障害者・難治性疾患者雇用開発コース、等があります。さて、発達障害者(AⅮHⅮ)の方を雇い入れた場合でも上記いずれかの本助成金の対象になるのか?というのが本日のテーマです。結論から言いますと、自立支援医療受給者証(精神通院)をお持ちであれば、発達障害者・難治性疾患者雇用開発コースの対象になります。但し申請時(勤続6か月たったごとに2か月以内)に医師の診断書が必要等要件がありますので雇用する際は職安・労働局にご確認・ご相談ください。

発達障害(AⅮHⅮ)をお持ちの方の中には創造性が豊かで独自の視点や発想力にあふれ興味ある分野においては集中力、独創性を発揮するなどの特徴をお持ちの方も多いため、製造職、研究職、特定分野の編集職などの分野の企業様は採用を検討してみてもよいかと思います。

解雇はNGの場合あり!要注意!

厚生労働省が高額な助成金を支給する目的は何でしょうか?それは雇用の創出、維持、安定を図る目的があります。企業が就職が困難な人を雇用したり社内制度を整備して雇用を維持することを応援するために助成金があるといっても過言ではありません。 これは逆に言えば 雇用を減らす行為である「解雇」をする会社を厚生労働省の助成金を支給する目的に反している、と言えます。今回は各助成金の解雇についての扱いについて少し記載したいと思います。(解雇の扱いは各助成金によって違います。また認定を受けた懲戒解雇や天災等により事業の継続が困難となったこ とに伴う解雇は除かれます。)

特定求職者雇用開発助成金

「対象労働者の雇入れ日の前後6か月間に事業主の都合による従業員の解雇(勧奨退職を含む)をしていないこと」という要件があります。特定求職者雇用開発助成金は、雇用されることが困難と考えられる対象者を一定の要件で雇用した場合に事業主に支給されます。ですので一方で雇用を創出しても他方で従業員を解雇した場合はあまり雇用創出の意味をなさないためです。

キャリアアップ助成金(正社員コース)

「正社員転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、雇用保険被保険者を解雇等事業主の都合により離職させた事業主でないこと」となっております。                                                令和3年キャリアアップ助成金正社員化コース

雇用調整助成金

企業規模、算定対象期間の時期によって違いますが簡単に言えば本来の額より減額されて支給されます。解雇があった場合でも支給されないということではありません。雇用調整助成金はコロナ渦においての厳しい経済状況において、なんとか解雇せずに雇用を維持した事業主に支給されるの助成金ですので、解雇した場合の多少の減額は致し方ないとも言えます。ちなみに、現在令和3年1月(1月8日)以降が支給対象月の場合は、令和2年の解雇は減額の対象になりません。

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)は以前ご紹介した今年金額が大きくなった魅力的な助成金です。65歳以上へ定年の引き上げなどの取り組みをした事業主に対して支給される助成金です。こちらは事業所における解雇による支給制限はありません。ちなみに、残念ながら多数の申請があったようで令和3年9月中にこの申請は早くも締め切られる模様です。来年になればまた受付が開始される可能性もありますが、いずれにしても助成金は思い立ったら、スピーディ―な準備、手続きが重要です。

 

出生時両立支援コース(両立支援等助成金)※男性の育児休業・育児休暇

出生時両立支援コースは、男性が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場づくりに取り組み、実際に一定期間に男性労働者が育児休業や育児目的休暇を行った場合に事業主に支給される助成金です。

男性社員の子育てを応援したいと思われている企業様も多いのですが、なかなかきっかけがなく踏み出すことが出来ず・・・そんな企業様にお勧めの助成金です。金銭的にも非常に魅力的な金額となっております。

さて今回注意点を1点記載致します。対象の男性労働者に対して、育児休業の取得を個別に後押しする取り組みを行った事業主に対して個別支給加算(表中にあるように10万円)というものが、あります。この点について1点注意が必要なことを今回記載します。

個別に男性従業員と面談の上、男性労働者は育児休業申出書を会社出さないと個別支援加算(10万円)という加算がつきません。男性労働者が「育児休業取らせてください」と育児休業申出書を出したあとに育児休業に関する面談をするのでは個別支給加算が支給されません。確かに会社が「育児休業したら?」と後押しして「わかりました、じゃ休ませて頂きます」と書類にて申出書を出すのが自然な流れですよね?日付の流れ、順序が逆になっていた場合支給されませんのでご注意ください。

助成金は順序が大切です。